代橋亭ずずこの たのし、むずかし、はてなし日常
みんらぼ所長・代橋亭ずず子が「障害」「多様性」をめぐる思いを綴る日記。脳性まひあり、マーケッター、総勢4人の零細会社社長の視点も交え、みんらぼを世の中のムーブメントにしたいと目論むチャレンジングな取り組みの意図や迷い(愚痴?)もコクります。

WHILL日記1 車いすライフ始めます♪

代橋亭ずずこ、50数年間生きてきて初めて、四輪車を操縦することになった。
WHILL(ウィル)という電動車いすだ。「次世代パーソナルモビリティ」をうたうWHILL。買うと安いタイプ(Model C)で45万円するが、これを1ヶ月約1万円、最長3ヶ月レンタルできるサービスがあると知ってこれに飛びついた。

6月11日、WHILLが来た。
さっそく乗ってみると、すごーい、すごーい。街の道路はこまーる、こまーる。乗ったからこそわかること、いっぱいだ。

9月の半ばまでのレンタル期間中、随時、WHILL体験を皆さんにシェアしていきます~!

これって、わたし乗っていいのかな?

レンタルサービスに飛びついたとは言ったが、実はそんなに簡単に手を出したわけではない。そもそもWHILLの存在は以前から知っていたし、乗ってみたいとの興味もあった。でも実行には移せていなかった。
購入価格の高さもあるが、それよりも大きかったのは「私は歩ける」ということ。電動車いすに乗るのはそれ以外に移動手段がない人だけ、「乗ってみたいけどどうしよう」と迷える時点で、電動車いすに乗る資格がないと思い込んでいたのだ。

とはいえ、だ。

歩けるには歩けるけど、杖一本より二本のほうが楽だと、最近は近所に買い物に行くのに両手に杖を握ることが増えていた。そうなると途端に新たな不自由に直面する。買ったものをどう持って帰るか…。
じゃあ、とばかりにリュックを背負って行き、コンビニ弁当は幕の内から二段重ねに変えた(幕の内はリュックに立てに入れると、混ぜごはんになっちゃうからね)。

歩けるんだし、お弁当も買えるんだし、しあわせじゃないかと思っていた。
でも、ちょっとだけ楽しくない。

歩けるには歩けるけど、私には超絶苦手なことがある。苦手なのは横断歩道と踏切を渡ること(みんなのチエワザ【緊張の強い人と横断歩道】リュックの肩紐を持ち手にして、味方を作りながら歩く参照)。それもその日の体調やストレス度合いによって状態が変わる。いつもは横切れる小さな商店街の通りで緊張が高まって身動き取れなくなり、常に持ち歩いている抗不安剤をかみ砕いて飲むといったことが起きたりもして、最近さらに独歩での行動半径が狭まっていた。

離れたところはダンナが車で送ってくれる。近場はダンナが手をつないでくれたり、社員がリュックの肩紐をつかませてくれたりする。おかげで生活に問題はないんだし、ありがたいじゃないかと思っていた。
でもね、やっぱりちょっとだけ楽しくないのよ。

そんなもやもやする私の背中を押してくれたのが、みんらぼスタッフのあこさんだ。あこさんは私より一足早く、電動車いすに乗り始めていた(あこさんの夫、ヒロさんのブログ、昭和サラリーマンオヤジの酔どれ日記「吾が家に電動車椅子が来たぞ~」参照)。

ブログがアップされる前のスタッフミーティングで、あこさんは言った。

「電動車いすに乗るようになったら、知り合いから顔色がよくなったって言われたの」

話しを聞いてみると、それまであこさんは家族やヘルパーの手を借り、車いす(手動)や歩行器を使って生活をしていて、不自由は感じていなかった。
でもあこさんの心のどこかに、「ちょっと離れたカフェにひとりで行きたい」「図書館まで行ってゆっくり本を選びたい」という気持ちがあった。ふだんは自分でさえも忘れていた、ひっそりとした願い。それができるかもと思った瞬間、電動車いすに乗り始めたことを知らない知り合いが指摘するほど、表情が明るくなったのだという。そしてついには、「私、働きたい!社会と関わりたい」とまで言いだした。25年間の専業主婦生活を返上しようという大決心だ(前述・ブログ参照)。

勝手な思い込みから私の耳に聞こえる気がしていた、架空の声。

「あらあ、あそこの奥さん、昨日は杖で歩いていたのに、車いす?」
「歩けるのに車いすなんて、大げさじゃね?」

そんな声を、あこさんは吹っ飛ばしてくれた。
「先のことはわからないもん。今のこの瞬間を自分のために生きようって思ったの」とも話してくれたあこさん。
少しでも永く、自分らしく楽しく暮らしたい。
そう、これは、人より老化が早いと言われる私たち脳性麻痺者としての、前向きな老いじたくなんだよね。

メガネのパリミキから、WHILLが届いた

さてさて、あらためてWHILLを紹介しよう。
Model Aが2015年度グッドデザイン大賞、Model Cが2017年度グッドデザイン賞を受賞したカッコイイ電動車いすWHILL。ご存じの方も多いかも知れない。
メーカーはWHILL株式会社。ホームページで商品の開発思想、若い創業者たちのこれまでの取り組みなどを読んでみると、もう否応なく「ほぉ」「へぇ」「わくわく」の気持ちが高まってくる。

そして今回レンタルしたのは、「メガネのパリミキ」の株式会社三城から。三城が2019年4月からWHILLのレンタルを新事業として始めたのだ。
「福祉用具のひとつだったメガネがファッションになったように、WHILLは従来の車いすのイメージを変えるのでは」というのが新事業にこめた思いらしい(プレスリリース参照)。うんうん、なるほど、いいね~!

レンタルにあたっては、まず三城に電話で問い合わせして試乗日を予約。WHILLを自宅まで持ってきてもらって、操作の仕方の指導を含む試乗を1時間程度行った上で、良ければレンタル契約する、という流れだ。

試乗日当日、わが家から一番近い三城の店舗の担当者ともうひとり、電動カート・電動車椅子の専門会社、株式会社セリオの担当者がWHILLを連れてやってきた。

右手の方が麻痺が強いことをあらかじめ伝えてあったので、WHILLの操作スティックは左にセットされていた。
操作方法、座面やアームレストの高さ調整の仕方など習い、さっそく家の前で乗ってみる。

「へえ、小さいなあ! 車いすっていうより普通のいすじゃん」
「前輪のタイヤの動きが不思議すぎて、テンション上がる!」

試乗に立ち会ってくれたダンナと弊社社員ゆうさくが声を上げる。
確かにスマートデザインは心理的な圧迫感がない。
直感的なスティック操作で動かせるのもハードルが低く思えた。

とはいうものの、スマートであることはなんか頼りない気もするし、自転車に挫折した私には、自分にない速さ、動きをする乗り物はそれだけでコワイ。
だって、私は自分の人生において、ここまでなめらかな「まわれ右」をしたことはないのだ。

「WHILLと仲良くなって、動きに慣れていくしかない。…っていうより、新しい動きを知るんだ、私」

WHILLのスムーズな動きに感嘆しきりの立会人たちには想像もつかないであろう、悲壮感と希望の入り交じる思いを抱え、私はイケメン指導員(&カメラマンゆうさく)と3人で、30分強の「安全運転指導」に出発した。

…to be continued!


せっかくのイケメンの指導なのに、緊張しまくりで顔引きつり^^

よろしかったらこちらも見てね。
WHILL体験記①基礎講習編 WHILLの基本操作習ってます

この記事を書いた人

代橋亭ずずこ (Zuzuko Diversity)みんなの世の中研究所・所長
代橋亭ずずこ (Zuzuko Diversity)みんなの世の中研究所・所長
本名・小梨由美。脳性麻痺による上肢・下肢の機能障害あり。身体障害者手帳保有。生来歩行障害はあったが原因がわからず「足の悪い健常者」との自覚で育つ。2016年、思いがけなく脳性麻痺の診断を拝受。「なにそれ?」の疑問ととまどいの答えを探してネットサーフィンするなかで、たくさんの障害のある友人たちに出会う。それぞれの人が泣いたり笑ったり、のたうち回ったりしながらも、自分なりの知恵と工夫で暮らす姿に共感を深め、「みんなの世の中研究所」発足を決意する。趣味は朗読。最近はまっているのは「しいたけ占い」。東京・世田谷生まれ。(有)ジャコ代表取締役。マーケティング・プランナー。消費生活アドバイザー。

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