収納アドバイザー楽歩のカタヅク×パラダイム~効率化で幸福化~
脳性まひで収納アドバイザーの楽歩から提案!最小限の空間に最大限のものを置き、かつ作業スペースも確保する、家の「効率的なコックピット化」を目指してみませんか?<br />ハンディのある人もない人も、ラクに暮らせて幸せになる、そんなお片付けの考え方、お話ししますわ!

《カタヅク×パラダイム》わが家はセルフサービスのカフェなのですわ!

わが家はセルフサービスのカフェなのですわ!|みんらぼ

自分らしくない生活なんてつまんないわね。

リフォーム前の楽歩さん宅のリビングの画像。アンティーク調のダイニングテーブルや棚で、トーンが統一されている

リフォーム前のわが家のリビングですわ。アンティーク調の家具が素敵でしょ?

シンプルライフがもてはやされる一方で、手づくり、丁寧な暮らしが尊ばれ、インスタ映えが重要視される昨今。
実に厄介な時代になりつつある中で、雑誌やテレビなどで活躍する整理収納アドバイザーたちも、やはり持ち物は最小限に留め、断捨離を促し、見た目をすっきりさせるために収納用品を厳選し、結構なお値段の収納グッズで揃え、家主の趣味が見えなくなった無機質な空間を作り出していく…これこそがおしゃれでハイクオリティな生活だと誘っていくかのごとく、心地いい暮しとは、どうやったらまわりにおしゃれだと思ってもらえるかと周囲の目を意識することだと言わんばかりやん!つまんないわね…と思ってしまうのは私だけかしら?

本来の暮らしは、まさに十人十色。
一つの価値観におさまりきらないのが暮らしであり、正解がないのが整理収納なはずなのに、インスタ映えするようなお部屋こそが、整理収納を極めているおうちだと押しつけようとする風潮に、ひねくれ者の私は吐き気がしますわ。

お部屋に「好き」を効率的にちりばめるのよ

楽歩さんの息子さんが友だちを家に呼んでみんなで遊んでいる画像

整理収納アドバイザーになって、はや7年が経過しましたけれども、いまだ私の家は、雑誌に出てくるようなおしゃれな家とはほど遠く、どちらかというと生活感バリバリの「おばあちゃんの家」のような空間で暮らしております。
そりゃね、ドイツでは「タイム&スペース」という言葉があるほど、【モノが少ないほど、時間を豊かに使える】というペクトルは、確かに的を得ているのですが、好きな物を好きなように取り入れることもまた、人生という時間を豊かなものに熟成させてくれると思う私は、がむしゃらなダイエットはしない主義!
なので我が家は、なかなかのごちゃつき感を放っております。
でも、そこには、私たちファミリーの「好き」で部屋中埋め尽くされ、その見た目を裏切る使いやすさも潜んでいるという不思議な仕上がりに。

なにせ私の理想のおうちは、家族やうちに出入りするすべての人々のわずかな協力によって、いかに主婦の私がラクに家事が遂行できて、かつ寛げる空間になるかを目指しておりますの。

整理収納アドバイザーのおうちであるにもかかわらず、整ったリビングで、マイセンのカップ&ソーサーでお紅茶が飲めるおうちではありませんし、我が家は、おバカなダックスフンドが、ハイジャンプしながらお客様を迎えるという、誠にゴチャゴチャした空間なのであります。

我が家のキッチン&ダイニングは楽歩’s カフェなのですわ!

楽歩さん宅の水屋の画像。かわいいカップが並び、好きなカップが選べるようになっている

我が家にやってきた人たちは、キッチンの水屋から、想い想いのマグカップを取り出し、お好きな飲み物をどうぞ!の完全セルフ方式なんだけれども、日常の中に相手を招き入れることで、スタバに行くなら楽歩ちゃんちに寄ってこ!と思ってもらえる、そんな気取らなさと、温かな時間が流れる空間を醸し出していたいなぁーと意識して部屋作りをしています。

えっ、なんで?
あなた確か…体力もない障害者で、おまけに、うちにもほとんどいない不良専業主婦よね?
なのに、なぜにカフェ??? はぁ〜?
もしかして楽歩さんって、相当アホなんちゃうん???

って、そりゃそう思われても致し方ありませんわ!

だって、ほんまにアホなんやもん!キャハハ!!!

でもね、アホなだけではないかも…
これはひとえに、私が体力もない脳性まひで、アクティブすぎる不良専業主婦だからこそ、生み出されたチエなのですよ!

水屋の隣りに設置されたフックの画像。お茶を飲んだ人はカップを軽く洗って、このフックにカップをかける

お茶を飲み終わったら洗ってもらい、軽く水気を払って、戸棚の下に回転式フックに掛けておいてもらえば、後で水屋に片付けるのがラクでしょ?

国民のみなさま方すべて、個性豊かで親切なヘルパーさん♪だと信じて疑わない私(脳性まひの私だって、誰かにとっては良質なヘルパーになるシーンだってあるわ!と思っている私)は、お茶を飲みに来て頂いたついでに、水切りカゴにある食器を片づけてもらうとか、夕食の下ごしらえのじゃがいもを剝いてもらうとか、お味噌汁に入れる薬味なんかを刻んでもらうとか、洗濯物を一緒に畳んでもらったり、ちょっとしたことをやっていただくだけで、めっちゃ助かるんですもの!

それでいて、いつでもウエルカムな状態を保つには、最低限のお掃除も必要になってくるワケで、でも、できればお掃除なんてしたくな〜い!とサボる気満々の私にとって、パパッと朝の短時間にお掃除をやってしまうモチベーションにもなっておりますのよ。

こんなふうに思い切って、敷居もバリアフリーにしてしまって、「お構いはしないけど、いつでもいらしてね!」とおうちをオープンにすることで、持ちつ持たれつがより自然な形になるような気がします。
その土台を支えるのが、やはり整理収納であり、大勢の人の手を円滑に借りるためにも、整理収納術があってこそ、その恩恵を最大限に享受できるんじゃないの〜と、今日も私は脳性まひと整理収納を武器に、不良専業主婦は楽しいことにまっしぐらなのでありますっ!

この記事を書いた人

楽歩
楽歩
1978年京都生まれ。生後2週間で食道手術後に心肺停止状態に陥り脳性まひとなる。
7歳の頃から6年間ドーマン法(脳障害児が健常になり、健常児がより優れた能力を身につけるようにするためのプログラム)の訓練を実践。
18歳で働き始めると同時に水泳やドラム、英会話などの稽古ごとにのめり込み、語学留学で日本を飛び出すなど、活動の幅を広げる。
22歳で結婚、出産を経て、32歳の時に自身の半生を綴った自伝「三重苦楽」を出版。現在も自宅不在の不良主婦・母として、やりたいことに向かって日本中を飛び回っている。