収納アドバイザー楽歩のカタヅク×パラダイム~効率化で幸福化~
脳性まひで収納アドバイザーの楽歩から提案!最小限の空間に最大限のものを置き、かつ作業スペースも確保する、家の「効率的なコックピット化」を目指してみませんか?<br />ハンディのある人もない人も、ラクに暮らせて幸せになる、そんなお片付けの考え方、お話ししますわ!

《カタヅク×パラダイム》始まりましたわ!

始まりましたわ|みんらぼ

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楽歩さんの画像
「楽しく歩く」と書いて「楽歩(らぶ)」というすっ飛んだ名前は、本名であり、決して人気を得る為にひねり出されたペンネームではございませんのよ!

両親にとって、3人目である”楽歩”と名付けた我が子が、まさか「楽しく歩けない」ばかりか、言語障害も伴う脳性まひ(アテトーゼ型)という障害も授かるハメになろうとは知る由もありません。
「らぶちゃんってかわいいやん♡」と、キラキラネームの到来を予期してか?!、いや、たぶん単なる思いつきで、まだ昭和も53年目に入ったばかりの1月に、楽歩はこの世に誕生し、生後2週間足らずで死の淵を経験し、物を見る前に襲った失明の危機も乗り越え、祝 \(^o^)/脳性まひ者として、この世に生き残れるライセンスをもぎ取って、今年で40年目に突入いたしました。
シブトク強く、せめて人生という旅路は、名前通りに楽歩でいこうではないか!と張り切りすぎたか、主婦歴18年目にして、家にほとんどいない不良専業主婦になってしまいましたの。ホホホ〜。

将来の夢は「お嫁さん」!

こうみえて幼き日から、専業主婦の座を勝ち取るまでの私の夢は「お嫁さん」になって、居心地のいい家庭をプロデュースしていく「主婦」になること。
黄昏時にエプロンの袖で手を拭きながら、せわしなく働く姿や、早朝に表を掃く仕草などは、地味だけど心底カッコイイわ!と、私の瞳には映っておりました。
なんせ障害があったために、否応なく母と過ごす時間が、幼き日の生活のすべてだったといっても過言ではなかった私の趣味は「主婦ウォッチング」だったんですもの。
まだひらがなしか読めない頃から、 幼児向けの雑誌より、収納術などの写真がふんだんに載っている主婦向けの雑誌を、穴が開くほど見たおしておりました。

こんなにも、家事全般(お裁縫だけは苦手だけど)熟知している私が主婦にならんと、誰がなんねん!と、周囲は「脳性まひという障害を抱えて、お嫁さんは…ムリだわよ」という無言の圧力は、日に日に倍増していく中で、たでくう虫も好きずきなんですのよ!
イマドキの結婚適齢期にしては早すぎる22歳で結婚し、翌年に長男を出産。
こうして家のすべてを取り仕切れる立場になり、今まで蓄積してきた主婦力がようやく発揮されるときが来た!と思いきや… 体力なさすぎの、疲れが即、痛みに繋がる脳性まひ者の主婦に、いままで学んできたやり方では、時間的にも、体力的にも、すべてにおいて太刀打ちできないことが判明しました。
もはや、多岐にわたる終わりなき家事を脳性まひ者が担うことは無茶なことなのか?
せっかく、たでを食ってくれる夫もみつけたというのに、ここであきらめたら、脳性まひ者のプライドがズタズタになるやん!そんなんあかん!!脳性まひ者の主婦には、脳性まひ者独自のスタイルがあるはずで、たまたまロールモデルが見当たらないだけなのだ!!!きっとそうなのだ、お手本がないなら、自分でみつけりゃいいのね!と、キュリー夫人にでもなった気分で、研究に没頭し始めました。

カタヅク×パラダイム誕生

もともと、お片付けに興味があった私は、環境を整えて無駄な動きを省き、体力を温存し、時短も目指す「省エネ」作戦を思いつき、実践してみると、どうにもならないハンディが、魔法でもかけられたかのように軽減されていく感覚に、ますます整理収納にのめり込んでいきました。
これはもっと系統的に学ばなければ!と整理収納アドバイザーの資格を取得したのでありますが、しかし、ここでもまた壁にブチ当たります。
なんせ整理の大前提として「”あれば便利”なモノは処分し、”シンプルライフ”を目指すこと」であり、奇しくも断捨離という言葉も誕生し始め、包丁一本と菜箸一膳にすれば、狭いキッチンだって片づくでしょ?という、あぁ無情…的な見放され方をしてしまうも、めげない私は、「しゃーないか。障害を持ちながら主婦業や自活なさっている方は、まだまだ少ないし、ハンディを埋めるために、さまざまな便利グッズを使いやすい位置にスタンバイさせておかなくてはならないことを、しらはらへんもん。私ら障害者の主婦にとって最も外せへん課題は、いかに最小限の空間に最大限のモノを置いても、作業スペースは確保し、効率のいいコクピット化を目指すか!やもん。専門家がこの矛盾に気がついてなくても責めらへんわな!」と。

楽歩さんのキッチンで絶対必要なアイテムたちの画像。大小様々なヘラや、数種類の皮むき器、トングなどがずらり

楽歩さんのキッチンで絶対必要なアイテムたち

ならば、ワタクシが脳性まひ者で整理収納アドバイザーとして、この矛盾に迫って行こうじゃないの!と決意新たに、ハンディを持った方や高齢者のための「整理術」を確立していきたいと思うようになり、それを追求していくことは、自分の暮らしも向上していくことにもつながり、一石二鳥だわと、この研究をやりはじめて、早10年近く経ちます。
暮らしとは流動的なもので、ライフステージにより、最適な環境は異なるので、あきることなく今日も研究を続けています。

たとえどんなに重いハンディを抱えていても、年老いて人の手を借りなくてはならなくなったとしても、一人の人間として尊厳を持って、楽しく暮らしたい!という願いはみんな同じでしょ?
背負ったハンディを、年老いた身体を、リハビリだけで補おうとするには限界がありますもの。補いきれない部分に常に引け目を感じながら生きる時代は、もう幕を下ろしたのです。もしもまだ、下りていないのなら、さっさと下ろしてしまいましょうよ!

整理収納だけがすべてだとはいいませんが、インテリアの側面だけではない、整理収納が持っている秘めたパワーを、一緒に体感していきましょ!

現在の楽歩さん宅のキッチンの画像。沢山のカップやトレイが見事に収納されている

現在の楽歩’sキッチンの様子

この記事を書いた人

楽歩
楽歩
1978年京都生まれ。生後2週間で食道手術後に心肺停止状態に陥り脳性まひとなる。
7歳の頃から6年間ドーマン法(脳障害児が健常になり、健常児がより優れた能力を身につけるようにするためのプログラム)の訓練を実践。
18歳で働き始めると同時に水泳やドラム、英会話などの稽古ごとにのめり込み、語学留学で日本を飛び出すなど、活動の幅を広げる。
22歳で結婚、出産を経て、32歳の時に自身の半生を綴った自伝「三重苦楽」を出版。現在も自宅不在の不良主婦・母として、やりたいことに向かって日本中を飛び回っている。