??????????????????
??????????????????????????????????????????????????????

毎晩1.5合の米をさらう「障害ありフードファイター」誕生秘話

先日みんらぼ仲間のゆうさくさんが我が家にきて一緒に夕食を食べたとき、山盛りに盛られたご飯と、顔色ひとつ変えずに淡々とそれを平らげていく僕、という構図にびっくりしていた。

僕は夕食にご飯を1.5合食べる。
1日で、ではない。1食で、である。
全盛期だった20代中盤の頃には2合食べていたから、もっさん史上ではむしろ小食期であるといえる。
アラサーにもなって、何故そんなに食べることができるのか?
こんなどうでもいい話しも中々ないだろうが、わが胃拡張の歴史をどうか聞いてほしい。

僕が広大な胃袋を得た最も大きな要因は、大学時代の寮での食事である。
僕は大学・大学院の6年間を、管理人常駐の学生寮で過ごした。
そこでは平日+土曜日の朝・夕食が出るのだが、土曜日の夕食は決まってカレーであった。
当時はよく「海上生活じゃないんだから曜日感覚はズレないよ?」「しかもなぜ金曜日でなく土曜日なのだ!」というツッコミを胸に秘め、スパイス香る週末を迎えたものである。

そこでの食事スタイルは、既におかずがセットされたお盆に、ご飯と味噌汁を食べたい分だけ自分で盛るという半セルフサービスであった。
脳性麻痺の関係で歩くときに全身が全自動的に揺れてしまう僕にとって、味噌汁を運ぶということには大変な困難が伴う(あなたが足腰に障害のない人なら、未舗装の山道をひた走る軽トラックの荷台に味噌汁の乗った盆を持って立っていると想像してもらいたい)。
そんなことをしようものなら、僕は味噌汁をこぼし、やけどを負い、同時にびっくり反射で身体のバランスを崩して転倒、ドンガラガッシャン的現象の渦中で後頭部辺りを強打し、即刻病院送りになるだろう。
まあそんな訳で、僕はいつも管理人さんに味噌汁を運んでもらっていたのだった。

カレーに話しを戻そう。
カレーだって僕にとっては十分すぎるくらい液体なので、管理人さんに盛りと運搬をしてもらっていた。
その際、毎回「普通盛りでいいですよ」と僕が伝えているのにも関わらず、意図に反して出てくるのはなぜかどんぶり飯2杯分はありそうな超特大盛のカレー!
片手で持ったら骨折しそうなくらいの重さのある代物に、僕は日本語の使い方を間違っているのだろうかと疑心暗鬼となった。

「えっ、そんなに食べれませんよ~」
と言っても、管理人さんは
「残してもいいから」
と言って、去っていく。

僕は無心で、ヒーヒーハーハー言いながら、食べる。

食べる。食べる。

ゲプッ!もう、お腹いっぱい!

さぁて、部屋に帰ろうかなと思っていると管理人さんがやってくる。
「今日のカレー、美味しかった?市販のルーに隠し味を入れてみたんだ」
もちろん美味しかったので、
「美味しかったですよ~」
と答えると、管理人さんのターン!
「じゃぁ、もう一杯ね」
と言って、管理人さんは空になったお皿を持って、もう一杯盛ってこようする。
そこで僕が、断ろうものなら
「具合悪いの?」「美味しくなかった?」
と言ってくる。
最終的には、日曜日の食事が付いていないことを理由に
「明日の分を食べていきな」
と言ってくる。食べ溜めできないという人間には無理だろうとも思える発言を残し、管理人さんは立ち去る。

「ちょっ、ちょっと待って、管理人さ~ん!となりに座っているガチムチの体育専門学校の学生さんでも、そんなに食べてないでしょ。僕はそんなに身体鍛えている学生でもないし、単なる理系大学の学生ですよ~!」
なんていう心の叫びは通じる訳もなく、おかわりが運ばれてくるのである。

そして、少なめ、少~しでいいと言っているのに再び超特大盛のカレーと格闘することになる。
プロボクシング世界カレー級のチャンピョンからの一方的なジャブとストレートパンチで打ちのめされ、食べ終わるころにはいきすぎた満腹感と疲労感で動くこともままならない。
なんとか自分の部屋のベッドに倒れ込んだ後は、気を失ってしばらく何もできないほどだ。
それが当時の週一回の恒例行事であり、僕はこれを肥育生活とよんでいた。

一応断っておくが、管理人さんとの間に軋轢はない。
寮生活の中の様々な場面で大変お世話になったこともあり、僕は彼らを第二の父母と慕っている。
居心地が良すぎた結果、当初2年間しか在寮しない予定だったところを、6年も居座ったほどだ。

で、数年間もそんな生活をしていると、人間の胃袋は必然的に大きくなる。
アラサーにもなって毎晩しこたま米を胃袋へ流し込む現在の食生活は、管理人さんご夫妻の愛のスパルタ教育を乗り越えてきた証。
その証を胸に僕は今宵も1.5合のご飯と出会うのだった。

この記事を書いた人

もっさん
もっさん
もっさんです。アラサー男子のひとり暮らし障害当事者です。
手と足に障害があります。歩行障害の関係で、普段は補装具(短下肢補装具)、杖、電動車椅子を併用&使い分けして生活しています。
仕事の日は補装具と電動車椅子、休みの日は体調が良ければ補装具と杖という感じで、自分の体調と体力に合わせて、使い分けています。
ひとり暮らしするうえで、色々と情報を得てきたので、そこら辺の知識は多いです。
得意テーマは、引越しなどの住関係、鉄道などの移動関係、行政の手続き関係です。