みんらぼ裏ブログ~だいたいみんなロクデナシ~
障害のある人ない人入り乱れて奮闘する「みんらぼ」づくりの裏話、実はそれが一番シゲキ的じゃね!? そんな思いをこめて、自称・健常者ゆうさくがみんらぼメンバーを笑いと涙でこき下ろす(?)、愛あるつれづれ日記

『第一回 みんらぼ Zoom de しゃべくり広場』を開催しました

今日夕方から雨が降るというのに傘を持たずに家を出てしまった。このままでは今まさに記事を書いているわがiPhoneの操作ままならず、あるいは手を滑らせて落下させるなどして、みんらぼの記事制作に大変な支障をきたすことになる。経費で傘を買ってもいいですか所長。ダメですか。そうですか。

傘を経費で落とすのはあきらめよう。数字が苦手な僕はうまく説明ができないのだが、経営は難しいのだ。

それに、かつてスタッフのマエシマくんが楽歩さんとのコンテンツ制作のためにレコーダーを購入した際、「経費であげますから!大丈夫っすよ!」と笑っていたらしいが、実際のところ経費計上はされていないらしい。裏で何らかの圧力がかかった可能性がある。そういえばレコーダーを使ったコンテンツは形にならなかったし、そもそも最近マエシマくん自体を見ていない。経費の話しは、あまりしてはいけないのかもしれない。

お喋りするイベントをやりました

この世にはZoomというweb会議ツールがあって、ネットに繋がるカメラとマイクの付いたデバイスさえあれば、いつでもどこでもオンラインで顔を見ながらお喋りができる。

Skypeと違って各種動作が軽く、取り回しがいいのが利点だ。欠点は、もはや見飽きたみんらぼのメンバーの顔面が毎回表示されることだ。たまには本田翼や橋本環奈などの顔面が映されるべきだと強く感じるが、未だにその機能は実装されていない。運営は何を考えているのか。

Zoomは非常にたくさんの人と同じ会議室を共有することができる。何千人だか何万人だかと言っていたが、詳しいことは分からない。そういうややこしい数字の取り扱いは、自称理数系男子のもっさんに一任している。今後当ブログで打診した案件の具体的な数字が彼のブログで示されない場合、責任はすべて彼にあるものとする。

とにかくたくさんの人々とオンラインでお喋りができる。みんらぼには移動に不自由がある人や、病的にスケジュール管理が苦手な人、、、つまり現場に辿り着くことにハードルのある人が多いから、現場が自宅に来てくれるようなありがたいツールは、ぜひ使い倒すべきである。

そのZoomを使って、さる11月2日の午後、『みんらぼ Zoom deしゃべくり広場』というイベントを開催した。イベントといっても内容は非常にシンプルだ。ひとつのZoom会議室に集まり、こちらの投げかけるテーマでお喋りをしようという、それだけのものである。

投げかけるテーマは、普段の生活の中で当たり前のようにやってくる場面に関するものばかりだ。司会は僕。サブはもっさん。文系と理系の人材をバランスよく配置した隙のない布陣である。ところで適当に自分を文系と名乗ったけれど、学生時代数学と国語が苦手科目の二大巨頭だった僕は、実際どっち系なんですか。

おしゃべりな人々

イベント参加をみんらぼのFacebookグループで呼び掛けたところ、僕ともっさん以外では、ずずこ所長、ヒロさん、サトウさん、あーちゃん(テキストチャットのみ)、の4人が集まった。

不測の事態が発生した。ずずこ所長がいる。所長は「4分だけいい?」と言って1時間喋るテロ活動が趣味という危険な人物である。一度火が付いてしまったが最後、イベントのために用意した2時間など軽く吹っ飛ぶ。僕ともっさんに緊張がはしった。

朗報があった。ずずこ所長は風邪をひいていて、マスクを付けていた。喉が痛いらしい。あの機関銃の砲身が痛むということがあるのか。この世に絶対はあり得ないという真理と出会い安堵していると、チャットがものすごい勢いで更新され始めた。

チャットはずずこ所長からだった。要約すると「今日は風邪で喉が痛いのでチャット参加にします」という内容である。延々と更新され続けるチャットを見て「チャットでもうるせぇ」と言いながらゲラゲラ笑っていると、不思議そうな顔をしていたもっさんが何かに気付き、こう言った。

 
もっさん「ずずこさん、ゆうさくさんだけにチャットを飛ばしてませんか。”全員に送る”を選ばないと」

ずずこ「え、あ、そうなの?どうするの?私はどうすればいいの?ここを選ぶの?できてる?見えてる?届いてる?」

ゆうさく「めっちゃしゃべるやん」

 
サトウさんの使っていた杖が折れたこと。

ヒロさんがイベントのお知らせの投稿に貼り付けていた「水恐怖症」のネタ動画を見て、今回のイベントのメインテーマが水恐怖症に関することだと思っていたこと。

僕が知らなかった脳性まひのアテトーゼ型と硬直型の違いについて。

いろんなトークが飛び交ったが、最も印象に残っているのは、それまでチャットのみで参加していたあーちゃんが、途中から音声のトークに参加してくれたことだった。

彼女はこの日イベントに参加していた誰とも面識がなかった。以前大型の台風が来た夜にずずこ所長が急きょ開設した「オンライン避難所」でもチャットでやりとりしていたということだったから、僕たちは内々に、あーちゃんは発話にも障害があって、だからチャットだけでやりとりをしているのかもしれないね、と推測していた。

違った。発話できる人だった。できるどころか、喋りたくて喋りたくて仕方ないのだけど、止まらなくなることが分かっているから”気を遣って”音声トークに参加しないというスタンスであったのだ。ちょうど、満月の夜になると理性を失ってしまう人狼の青年が、人を傷付けることを恐れて山奥に引きこもるようなものだ。

人里に降りてきたあーちゃんは、これでもかというほど日々の思いを吐き出した。本人が言っていた通り、まさに言いたいことが山ほどあって、でもこれまで言える場がなくて、だから溜まっていた色々なものが止めどなく脈絡なくあふれ出た、というところであった。

彼女は最後に僕が振った「着る洋服について工夫していることはある?」というお題に対し、紆余曲折しつつも最終的に

 
「街の商業ビルはもっと多目的トイレの数を増やす必用がある。単に法律で決まっているからという受け身的な姿勢でいるのではなく、実際にユーザーが不便を感じている事実を真摯に受け止め、環境の整備に努めるべきだ」

 
と社会に対して問題を提起。スッキリしました!と笑顔を見せたのちに、

 
「ちょっとお祭り行ってくるんで、そろそろ出まーす」

 
と笑いながらバタバタとイベントを後にした。関係ないけれど、彼女はZoomを切らずにその場を離れたので、その後の家族とのちょっとしたやりとりがその場にいた全員の耳に入り、全員で爆笑した。あーちゃん、今度はちゃんとアプリ終わらせてから抜けようね。

しゃべくり広場は、しゃべくられ広場でもある

あーちゃんの参加以降は僕のファシリテーターとしての仕事はほぼなかった。それでいい。しゃべくりたい人がいて、それを聞こうという人と場があって、それが素敵だと思った。能動的に聞き手を買って出てくれたサトウさんなど、相づちを打ちすぎて終始首が上下にシュッとなっていたほどだ。彼は画面をオフにして参加していたけれど、きっとそうなっていたに違いない。

日本には、話しを聞いてもらえる場がとても少ないように思う。それは障害の有無にかかわらず。それに対して、アドバイスや説教をしたい人、自分の考えを聞いてほしい人は山ほどいる。僕だって話しを聞いてもらいたい。さすがです!、知らなかったー、すごーい!、せっかくだからもっと教えて~、そうなんだ~と、キャバ嬢必殺の『さしすせそ』をざぶざぶ浴びて生きていきたい。

そんなことは一言も言っていなかったのに、しゃべくり広場は、話したいことがある人がしゃべくる場であると同時に、人の話しを聞く場としても成立していた。人の話しを聞くというのは、人に話しを聞いて貰った経験のある人しかできない。しゃべくった人は、いつか人のしゃべくりを受け止める人になる。なんて素敵なサイクルだろう。

しゃべくり広場に参加してくれたヒロさんは、別の機会にこんなことを言ってくれた。

 
「僕は発話障害もあって、喋るのに自信がなかったんやけど、ずずこさんとかゆうさくさんが上手く話しを引き出してくれて、どんどん自信が出て来たし、なんかしようっちゅう意欲も湧いてきたんですよ。せやから他の人らにも、いっぱい発言してもらいたいと思ってるんです。」

 
別にそんなことを狙って話しを聞こう聞こうとしていたわけではないのだけど、この話しを聞いた時、ちょっと泣きそうになった。嬉しくてずずこ所長にシェアしようとしたら、仕事が忙しすぎて泣いていた。涙の理由は人それぞれである。

もとい。僕たちは十分に人に話を聞いてもらったら、今度は自分が人の話しに耳を傾けようと自然に思うのではないか。それは、人にとって「話しを聞いてもらう」という経験が何よりのギフトなのだと心から理解するからではないか。

だとすると、みんらぼで人の話しを聞くことの価値を知った人は、身の回りの人たちの話しを聞くようになって、周りの人たちにいい気分や意欲をプレゼントする人になる、ということになる。おお、みんらぼヤバくね?

気軽な気持ちで始めたイベントだったけれど、気が付いたらそれくらいまで妄想が広がった。次回のしゃべくり広場の開催日時はまだ未定だが、必ず第二回目を開催しようと思う。人に話しを聞いてもらいたい人や、誰かに「話しを聞く」をプレゼントしたいと考えている方は、ぜひ参加してもらいたい。

なお、イベントの募集はこちらのみんらぼのコミュニティグループでお声掛けさせていただいている。ご興味のある方はぜひ参加の申請をされたし。異常に元気な人々が手ぐすね引いて待っている。

Facebookグループ「みんらぼ しゃべくり会議室」

この記事を書いた人

ゆうさく
ゆうさく
1985年生まれ。和歌山県出身。健常者。物忘れがやや激しめ。子ども時代の家族は、共働きの両親と共働きの祖父母、あまり動けない曾祖母と無駄に動き回る2人の弟達という、8人の小さなダイバーシティでした。趣味は工作。段ボールと木材は夢のカケラ。部屋作りも大好き。いつか家をDIYするんだ。あと、シンガーソングライターもやってます。ジムで本格的な筋トレも始めました。チャームポイントは大腿四頭筋と大胸筋。