親の責任
吾、親の責任を果たし終える
吾にとってここ数年間は
4月、10月というと
資金繰りに苦労する月であった。
大学生をお持ちの親御さんは
おわかりと思うが
授業料の支払いで有る。
我家も御多分には漏れず
二人の子供を大学に行かせる事になった。
そのため4月は
固定資産税、
更に子供が20歳を超えると
厚生年金保険料と
どれだけ搾り取ったら気が済むんだというくらい
吾の家計は逼迫していた。
今年やっと下の子供が
4回生になり最後の年となったが、
吾には以前から淡々と
計画していた事が有った。
それは、4回生の授業料は
前期、後期とは分けずに
一括で払おうというものだ。
吾はその為に貯蓄額を増やし、
準備をしていた。
その裏には
全て済ませたらいつでも
会社を辞めても大丈夫という
状態が欲しいという気持ちが
あったのかもしれない。
そして、その日がやって来た。
吾は国産の大衆車が買える位の札束を手に
銀行の窓口に立っていた。
吾の会社での血と汗と涙の結晶は
機械の中に吸い込まれて消えていった。
翌日、機を図ったかのように
厚生年金保険料の納付書が届いたが
それも全納した。
終わった!
後は自分たちでやってくれ!
これからは自分達の為に。
この記事を書いた人
- 1960年の高度成長期真っただ中に生まれ、障害が有るから人の2倍3倍頑張りなさいと育てられ現在に至る。
アテトーゼ型脳性麻痺2級保持者。
趣味はギターにパソコン(何台作製し分解したかわからない)、とアマチュア無線。
アマチュア無線はインターネット、携帯電話が普及した中で、どれだけ小さな出力でどれだけ遠くに電波を飛ばせるかに情熱を燃やすちょっと変わった人。
真夏に極寒の南極昭和基地と交信できたのは印象的だった。
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