《インタビュー》やりたいことが叶うような工夫を|ドラマーコウサカテルオ

こんにちは、ゆうさくです。
日々の暮らしの中で当たり前に障害と寄り添って生きる人々の、まなざしや思いをご紹介する「みんらぼインタビュー」。
第二回の今回は、プロドラマーの『コウサカテルオ』さんです。

コウサカテルオさんの画像

コウサカさんはプロのドラマーとして様々なミュージシャンのサポートを勤める傍ら、大阪芸術大学や京都にあるJEUGIAミュージックスセンター御池でレッスンを受け持つなど、講師業も精力的にこなされています。
みんらぼメンバーの楽歩さんはコウサカさんのレッスンに10年近く通っていて、今回はそのご縁でインタビューをお受けいただきました。

そうそう、今回は脳性まひの障害を持つ楽歩さんのドラムの先生として色々お話しを聞かせていただいたので、便宜上「コウサカ先生」とお呼びしています。
すっごくファンキーで楽しいお話しを聞かせていただけたので、どうぞお楽しみくださいませ(‘ω’)


抜き打ちで見学に来たら、この先生なんも教えてへんなっていうくらい、ずっと自分の席に座りっぱなし(笑)

笑顔で手振りをするコウサカテルオさんの画像

今日はよろしくお願いします。

 
お願いします。

楽歩さんは一度教室をやめて、少し期間を置いてまた来るようになったんですよね。その時、再開してみたら、先生は昔からドラムの教え方というか、人柄がすごく変わっていたと聞きました。

 
あのね、教室やから教室のやり方で教えますやん。20歳過ぎくらいからドラム教えにきてて、若い頃やから、ちゃんと教えなあかん、うまくなってもらおう、みたいなこと一点張りで教えてるんですよ。習う側の気持ちとかそんなん、知らんというか、知ろうとする余裕もない。ちゃんとやっていかな、これがここの教室の仕事なので、と。

それで、今はもうやってないんですけど、ラブちゃん久々に来るちょっと前に、子どもの付き合いみたいな感じでボクシングやり出して。試合に出たり減量したりして、結構のめり込んでたんです。それが、人にモノ習うのが学生の頃以来なんですわ。その時思ったんがね、しんどなったときにふっと、え、趣味でやってんのに、っていう気持ちがあって。

例えば会長とかがね、次ミットやる人間とかフロアから探してるときに、絶対目合わさへんようにしたりとか。なんかね、、、、自分のペースでやりたい、みたいになって。今そんな気持ちじゃないときに言われても出来へん。だからそこで習う側の気持ちみたいなんがね。「そんなにずっと見てんといて」みたいなものとか、ちょっとわかって。

せやから昔は結構ピッチリ横についてやってたんですけど。たぶん今はもう、抜き打ちで見学に来たら、この先生なんも教えてへんなっていうくらい、ずっと自分の席に座りっぱなしで(笑)やる事だけ言うといて適当に叩いときーみたいな感じで。そんな感じになりましたね。

楽歩さんも、復帰されてからの方が楽しいと言ってますもんね。そこについてはラブさんがどうのこうではなくて、髙阪先生がボクシング行かれたご経験から教わる側の気持ちというか心理が少し見えた、ということなんですね。

 
楽やもんな(笑)まあやってることはあからさまに変わりましたわ。たぶん生徒さんらも、20年以上来てる人とかね、変わったと思ってるんちゃいますかね。別に口には出さんですけど。

それ無理やろう(笑)みたいなこと言うてきても、叩けるように、僕が工夫して楽譜書きます

コウサカ先生と楽歩さんのレッスンの様子の画像

なるほどです。では、もう少し時間を遡りたいんですが、楽歩さんが初めて髙阪先生の生徒になると決まった時に、次に生徒になる子はどうやら障害を持ってるらしいぞと。その時は、どんな気持ちで迎えましたか?

 
あぁ、それね、言われることたまにあるんですけど。楽歩ちゃん運動障害やんな。実はね、僕のまわり、いわゆる知的障害の人間むちゃくちゃ多くて。

僕生まれたときから家におった父親の妹が知的障害やったんです。なんも出来へんのですわ。で、僕はそんなん知らんとずっと家で育ってて。ちっちゃい時わかりませんやん、そんなん。家でわんわん吠えてる人がおる、くらいの。で、小学校とか入って、友達とか家来たら、だんだん、あれ?これちょっと普通の家ちゃうんちゃうか?思って。

あと、実はちっちゃい時に一緒に遊んでたいとこも障害者やったんですよ。軽度の知的障害で。言葉がちょっと何言ってるかがわかりにくくて。

だからなんか、障害者がおるっちゅうんは普通のことやったんです。ただ、その括りはわからんかった。楽歩ちゃんが脳性麻痺の運動障害っていうのと、僕が知ってる知的障害者っていうのは一緒やと思ってたから。せやから、来るのはええけど、理解してくれるかな?ていうのだけは思いました。

障害を持った人を普通に見ていたから、その詳しい中身に対してはともかく、抵抗があるとか、不安になるとか、そういうことはなかったということですか?

 
そうそう。ただ、言うてることわかんのかな?いうことだけが。だから1回来てみなわからんいうて。だから言葉聞き取れるなぁっていう感じで。

そやけどなんか車いすで、その杖かなんかついてきてたから、これでドラム叩けんのかな?(笑)思たときにね、どうやって来た?て聞いたら、車で来た言われて、ぇえ!って。しかもボルボかいなって(笑)ほなもうドラム出来るやんって(笑)

なるほどです(笑)ちなみに、これも楽歩さんから聞いたんですが、自分の上達よりも、その日楽しむことを求めてレッスンに来ていると。それは本当にいいなぁと思うんですけど、逆に先生の立場として、生徒さんが上達することを求めてないっていうのは、教える側として不安になったりすることはないんですか?

 
僕はね、それがもう一切無くなったんですよ(笑)ボクシングやって色々気付いたっていうのもありますし。なんというか、求めてきたら応えてあげるっていうやつですわ。僕は月極駐車場みたいなもんで、おる、おればええ、みたいな感じ。生徒さんが求めたら、なんぼでも知ってること言うてあげる。それ以外はもう自分たちでやってたらいいっていうね。

楽歩ちゃんとのレッスンで思ってることとかいうのも、実は無くて(笑)ただ個人レッスンなので、すごく融通が効くんですよ。無茶言うてきたりとか(笑)それ無理やろう(笑)これどう叩く言うてんねん、みたいなこと言うてきても、手とか足とか動くんであれば、うまいこと叩こう思ったら叩けるねんな。叩けるように、僕が工夫して楽譜書きます。くらいなもんですかね。やってるのは。

じゃあ、求めてこられたら全力で応えるっておっしゃってましたけど、個人レッスンでこの場に来て、今日は特にこの子何も求めてこないなって思ったら、一緒にいるだけなんですか?

 
まぁ、そういうことです。そういうことなんですよ(笑)

でもまあ一応教室なので。楽歩ちゃんは楽歩ちゃんの課題とかはあるので、それはやっていくんですよ。なんか新しいこと教えて言われたら教えますけど、なんも言われへんかったら、こっちが与えた課題をやってもらって、いけてんなて思ったら次のを出す、みたいな。弟子になって、プロになりたい言うてきた子は別ですけどね。その辺はパスっと分けてます。

ほんでね、教室にくる生徒さん、普通家にドラムとかないんですよ。楽歩ちゃんとこはあるけどな(笑)だからね、次回までに上手くなってこい言われたかて、楽器ないのにできないっていうのにも気づいたんですよね。だいぶ前に。だからレッスンいうより、練習場なんですよここは。普段触られへん楽器に週に1回触って、やればいいっていう。

せやからほんとに、今回より来週、来週よりも再来週上手くなってもらおうとか、そんなに思てない(笑)本人がそう思てるんやったら勝手に上手くなるやろうし。音出すのを面白がってもらったらっていう感じ。そやからもう、楽歩ちゃんは叩いてるけど、ここきて30分喋って帰ってる人いっぱい居ますよ(笑)。

じゃあ課題の曲が今あって、目の前で生徒さんが叩いてらっしゃって、それをずっとあそこがダメだ、ここがズレてる、みたいなこともしないんですか?

 
してないですね。聴いてるだけです。よっぽどおかしかったら言うけど。ただそれも、よっぽどおかしいっていうのも、本人が気づいてるか気づいてないかっちゅうのは何回かやったらわかるので、気づいてることは言いません。分かってそれを直そうと練習してんねやから、それをやいやい言うな、みたいな感じですね。だから、どうもこれは気づいてなさそうやないうときは言う、みたいな。

すごいですね。そうそう、楽歩さんから聞いてステキだなと思ったのが、楽曲を1曲叩き切る体力がないから、4小節ごとに先生と交代でリレーでドラム叩くっていう話しで。最適化はするんだけど妥協はしない、っていうのが、ステキだなぁと。

 
それもたまたまやで(笑)そんなええもんちゃいます!

楽譜でちゃんと、各生徒さん、ちょっとやったら出来るかないうレベルで書いとくんですよ。しんどいってあんまり思われたくないねん。できそうやなぁって思ってもらわんと、もうやらへんから(笑)ほんでまぁ出来て、物足らんみたいなん感じたりしたら、そこでちょっと盛り付けていくとかね。削っていくよりも、あとでちょっと足していくみたいな。

なるほどー。それともう1つ素敵だなって思ってたのが“Born to love you”のバスドラ※①の音をフロアタム※②に差し替えて演奏できるようにしたっていう話しで。僕も実際楽歩さんの発表会の映像を見ましたけど、全然分かりませんでした。

 
わからんでしょ!?(笑)上手いこといったな(笑)自分のドラミングでちょっとはみ出した詐欺的な技で(笑)ドラムは止まらんかったら聴いてる人わからへんから(笑)

これさえ押さえてればドラムはおかしくならないぞっていうキモのところを残したまま、ちょっとズルいことをしているということですかね(笑)

 
そういうことなんです(笑)

色々聞かせていただいてありがとうございます!30分のインタビューが一瞬に感じました。30分お喋りして帰るっていう方がいらっしゃるのわかります(笑)濃い話をたくさん聞かせていただいてありがとうございました!

 
はい、ありがとうございました。
 
 

※①バスドラ:バスドラム。ドラムセットのうち、足で踏んで音を鳴らす、一番大きなドラム。
※②フロアタム:ドラムセットのうち、バスドラムの上や横に配置されている、中くらいの高さの音がなるドラム。


いかがでしたか?
文字に起こすと訳が分からなくなるので大幅にカットしていますが、インタビュー時は我々ずっと笑いっぱなしで、終始にぎやかで楽しい雰囲気でした。

大らかで優しくて、それでいてプロとして締めるところは締める。
十年単位で通う人がいるのもうなずける懐の深さを感じました(`・ω・)

コウサカ先生のレッスンが受けられる音楽スタジオは、以下の情報をご確認ください。
一緒にスタジオに行ったドラム経験のないマエシマくん(脳性まひの車いすユーザー)が初めてスティックを持った時にも、「おっきい音で面白いやろ★」とニッコニコしながら叩き方を教えてくれていましたから、初心者の方も安心して飛び込んでみてくださいね。


コウサカテルオ
プロドラマー、コウサカテルオさんのプロフィール画像

Webサイト:Drums:Teruo Kousaka
「BLACK CANDY」、ビジュアル系シャンソン歌手「如月伶生」のバンド「朧月」、竹田和夫氏のジャパンツアーのサポート、ボサノバ系バンド「sol.folha(ソル・フォーニャ)」、ジャズクラブでの演奏など、さまざまなジャンルのバンドや演奏活動。2008年からエリック・マリエンサル(チック・コリア・エレクトリック・バンド等)来日時、LIVE at [GREEN NOTE]でのサポートドラマーを務める。ヤマハ・エレクトーン「ステージア」でのリズム・シーケンス制作、譜面作成。
ヤマハ・ポピュラー・ミュージック・スクール ドラム科認定講師
大阪芸術大学 演奏学科非常勤講師

JEUGIAミュージックスセンター御池
JEUGIAミュージックスセンター御池の入口の画像

〒604-8006
京都府京都市中京区御池河原町東入 御池阪急ビル4階-6階(総合受付4階)
TEL:075-211-7790 FAX:075-211-7803
10:00~20:30

京阪「三条」駅12番出口より徒歩3分。地下鉄東西線「京都市役所前」駅1番出口すぐ。

Webサイト:ミュージックセンター御池

この記事を書いた人

ゆうさく
ゆうさく
1985年生まれ。和歌山県出身。健常者。物忘れがやや激しめ。子ども時代の家族は、共働きの両親と共働きの祖父母、あまり動けない曾祖母と無駄に動き回る2人の弟達という、8人の小さなダイバーシティでした。趣味は工作。段ボールと木材は夢のカケラ。部屋作りも大好き。いつか家をDIYするんだ。あと、シンガーソングライターもやってます。ジムで本格的な筋トレも始めました。チャームポイントは大腿四頭筋と大胸筋。

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