【歩きづらい】車いすライフを見据えた住宅リフォーム②脱衣所・お風呂

こんにちは。
みんらぼのゆうさくです。

前回の記事では、夫婦で脳性まひを持つヒロさん、あこさん夫妻が住まいをリフォームした時のポイントを、玄関からリビングにかけてざっくりとご紹介しました。
今回の記事では、脱衣所、お風呂に焦点を絞って、お話しします。

脱衣所のスロープ

まず、こちらの画像をご覧下さい。

リフォーム前の家の廊下の写真。玄関を入ったところに、そこだけ盛り上がった不自然な段差がある

これは以前にも掲載した、ヒロさん、あこさん夫妻の住まいの、リフォーム前の玄関の写真です。
廊下の真ん中に不自然な段差がありますよね。
写真では見えていませんが、この段差の右手側に脱衣所、お風呂と、トイレがあります。

リフォームをした時に廊下の段差を取り払ったのですが、水回りのスペースは配水管を設置しなければならないため、どうしても他の空間より床が一段高いままにせざるを得ませんでした。
そこで、お二人は少しでも楽に移動できるよう、脱衣所の入口部分にスロープを設置しました。

脱衣所の写真。洗面台の前がスロープになっている。

こうすることで、足が上げづらく大きな段差を上がることが難しいあこさんも、最低限の動きでお風呂やトイレに行くことができます。
写真でおわかりのように洗面台の前にスロープができてしまったのですが、この点については、あこさんは「特に不便はないですよー」とのことです。

着替える時は寝室からイスを持参

スロープをつけたおかげで移動の不便は減りましたが、やはりその分「脱衣所としてつかえるスペースが狭くなる」という問題は起こってしまいました。
あこさんは立ったまま着替えをすることができず、座る必要があるのですが、新しい脱衣所にはイスを置いておくスペースがないのです。

なので今は、脱衣所の向かいにある寝室から、化粧机のイスを毎回運んでいます。

寝室から化粧台のイスを出している画像

これを

 
 
化粧台のイスをスロープの上に運んでいる画像

こうして

 
 
脱衣所に運び込んだ化粧台のイスにあこさんが座っている画像

こうじゃ

 
 
イス自体は軽く、それでいてしっかりしているので、これで特に問題はないのだとか。
確かに、中途半端にコンパクトでヤワなイスを置くくらいなら、この方が安心して着替えられるかもしれませんね。

手すりで身体を引き寄せる

身体が動かしづらい人にとって、困難なことが多いのがお風呂です。
バスタブのへりをまたぐこと、座った状態から立つこと、ひとつひとつに苦労があります。

ヒロさんとあこさんは、動作の際の手がかりを作るため、お風呂の壁4面全てに手すりを配置しました。

お風呂場の出入り口の手摺り。入ってすぐのところにもタテの手摺りが取り付けられている

出入り口側。トビラの手すりも、ある程度体重を掛けられるタイプ

 
 
タオル掛け兼用の手摺りの画像

手すりを兼ねたタオル掛け

 
 
タテ向きの手摺りを兼用したシャワーヘッドホルダーの画像

手すりを兼ねたシャワーホルダー

 
 
バスタブの奥のL型手摺りの画像

湯船の奥にもL型の手すり

 
 
写真をバシャバシャ撮っているうちに、タテ型の手すりが多いことに気付いてあこさんに質問してみました。
 
 
ゆうさく「タテの手すりとヨコの手すりがありますけど、どっちの方がよく使います?」

あこ「タテの方が使いますね」

ヒロ「手すりで身体を引っ張るんですよ」
 
 
僕は、手すりといえば身体のバランスを取るためのもの、というくらいの認識で、ヨコ向きの手摺りの方が使うに決まっていると決め込んでいたので、この話しを聞いた時は目からウロコでした。
確かに座った状態から身体を起こす時の手がかりは、ヨコ向きよりもタテ向きの方が良さそうです。
なるほど、まだまだ知らないこと、いっぱいあるなあ。

まとめ

まとめ、というか僕自身の感想なんですが、住まいというのは、まずそこに住む人がいて、その次に住まいがあるんだな、と感じました。住まいに合わせるのではなく、住む人に合わせて住まいをつくるのが理想だということです。

わが家は現在妻が妊娠中で、これから第一子を迎えようというライフステージの転換期なのですが、家具の置き方や部屋の作り方を変えないといけないね、と妻とよく話しています。
子どもが生まれてからも、成長に合わせて家具や道具をどんどん変えていくでしょう。
だから、自分の身体の変化に合わせて住まいを変えていくことは、とても前向きで自然なことなのだと深く腹に落ちてきました。

前回の記事のまとめでも同じようなことを言いましたが、リフォームほど大がかりでなくても、住まいを自分たちのライフスタイルや身体の特性にフィットしたものに調整すること、工夫をすることは、きっとできると思うのです。
わが家も賃貸なので、家具選びやDIYで少しでもステキな住まいを作れないか検討しています。

快適に過ごせる住まいを整えて、余った体力で好きな事をしたり、ゆるやかな時間を楽しんだりする、そんな住まいづくり。
ヒロさんとあこさんのそんなリフォームの考え方をうかがって、僕のこれからの暮らしも、なんだかいい方向に変わっていきそうな予感です。
 
 

 

この記事を書いた人

ゆうさく
ゆうさく
1985年生まれ。和歌山県出身。健常者。物忘れがやや激しめ。子ども時代の家族は、共働きの両親と共働きの祖父母、あまり動けない曾祖母と無駄に動き回る2人の弟達という、8人の小さなダイバーシティでした。趣味は工作。段ボールと木材は夢のカケラ。部屋作りも大好き。いつか家をDIYするんだ。あと、シンガーソングライターもやってます。ジムで本格的な筋トレも始めました。チャームポイントは大腿四頭筋と大胸筋。